124.パン屋さんからぺぺちが生まれるまで

わたしは過去にパン屋さんだった事がある。

ちゃんと生地から作っていたよ(´・ω・`)

パン屋さんの仕事を説明したいわけではないんだけど、
これからする話の前に、
説明するとわたしの自己満足が一つ解消されるので、
要するに説明しますね。
書き始めたら止まんない…。

だらだら箇条書きして発散するスタイル。



小麦粉からパンになってレシートを渡すまで、
わたしは全ての工程を踏んでます。

仕込み

混捏…生地を作ること
小麦粉、吸水、砂糖、塩、酵母イーストの主原料に、
卵や油脂、ドライフルーツやナッツ、チョコやら副原料を混ぜたりするよ(●'w'●)
ミキサーという機械に原料を突っ込んで捏ねる事をミキシング(混捏)と言う。

混捏を何て読むのかは知らない(°ω°)
混捏と書いてミキシングと読むレベル



フランスパンなんかは小麦粉、吸水、塩、酵母があれば仕込める。
砂糖と油脂を加えれば食パン。

フランスパンなんかは原価安いので、
他のパンと比べて粗利がいい( ´_` )


さて、
混捏で重要なのは気温、水温、計量。
パンを膨らませる為の酵母イースト菌の活性温度があるので生地の捏ね上げ温度がほぼ決まっている。
その日の気温に合わせて水温を調整する。
もっと言うとミキサーボール内での生地の摩擦でどれだけ温度が上昇するかってのもある。
経験則でしか測れない領域だけど、
毎日やってりゃ覚える。

気温と同様に湿度に合わせて吸水量を調整する。

レシピの書き方も独特。
粉を100%にその他の原料が何%かを記載。

フランス粉 100%
Dイースト 0.5%
塩 2%
吸水25%
みたいな感じ。

1kgで生地を仕込むと、
フランス粉1,000g
Dイースト5g
塩20g
吸水250g
正味1,275gの生地が出来上がる。

食パン1斤につきおよそ220g×2玉必要になるので、
ギリギリ3斤にする!という感じで、
いくつパンを出すかで何kg仕込むかという計算。

※このレシピで食パンはできません。


砂糖は味付けでもあるけど、
イースト菌のエサとしての役割も担う。
もっと言うと砂糖の量で焼き色の付き具合も変わる。


ミキシングにも工程がある。

L3,ML2↓L2,ML4,MH2,H1

ミキサーには多段変速が付いてる。
Lowから始めるのが当たり前で、
まずはじっくり混ぜる。

いきなりHighで回した事があるけど、
粉塵でホワイトアウトするからやめてね。

わたしみたいに丁寧な職人はまず粉ものだけを混ぜる
その後で水ものを入れて開始。

塩はイースト菌にとって毒なので、
ダイレクトな状態で長時間一緒に置くのは禁物。
(基本捏ねてる間に次の生地の準備)

記号の意味は
L低速3分、ML中低速2分、↓油脂入れ、L低速2分、ML中低速4分、MH中高速2分、H高速1分

※超適当なミキシングです


副原料を入れるタイミングは全部↓で表記。

基本先に油脂を入れたら、
ナッツやドライフルーツみたいな固形物は捏ね上がるちょっと前に投入するよ(●'w'●)

ミキサーもボールの大きさを変えられる縦型ミキサーや、
大容量のスパイラルミキサー等種類があって癖が違う。

どちらにしても、
ある程度生地が纏まるまではミキシングボールの縁にこびり付くので、
途中途中で剥がして面倒を見てあげないと、
生地の中にダマができちゃうよ。


何をもって捏ね上げるかの判断が難しくて、
その日の気温、湿度、計量の具合なんかで、
毎日同じに仕込んでても捏ね上がりが全然違う。
そこを毎日整えるのがプロのベイカーなのさ!

混捏と言っても、
ただ原料を混ぜているわけではなくて、
グルテンの生成をしているんです。

このグルテンの出来具合で捏ね上げを調整するわけだけど、
捏ねが足りなくても捏ねすぎてもダメ!


素人では今の生地の状態がグルテンができできていく過程なのか、
それとも捏ねすぎでグルテンが破壊されている過程なのか、
本当に判断がつかぬよ(°ω°)

ベストな状態は、
生地をうすーく伸ばした時に、
指を当てて、
生地越しに指紋が見える程薄く伸ばせるか。

途中で千切れるようならもっと捏ねる。


グルテンをしっかり作ることでふっくらとしたパンが焼けるし、
ドイツパンみたいなズッシリとしたパンは逆にグルテンを作らない。




こうして生地が捏ね上がったら、
フロアタイムと言って生地を休ませる時間を取るよ。
この間に活性化した酵母やらイースト菌が、
生地を膨らませてくれる。
フロアタイムを何分取るのかは捏ね上がった生地の温度次第。

この時に生地の表面がボロボロだとそこからガスが抜けてしまうので、
優しくキレイに表面をツルッとしてあげるのよ。


温度が高かったらどんどん膨らむし、
冷たかったら中々膨らまないので、
ホイロっていう温度と湿度を設定する発酵機に突っ込むよ。

仕事でパン屋をやる以上、
全ての業務に時間が限られているので、
熱かろうが冷たかろうが、
キッチリ時間厳守ですよ。


一つの生地に付きっきりということはなくて、
生地を捏ねてるおよそ20分間に次の生地の準備をするし、
そもそもミキサーも一つじゃないから、
同時に別の生地を回したり。

生地の準備時間、ミキシング時間、フロアタイムから
その先も生地を使用するグラムに分割、
ベンチタイム、成形、ホイロ、乾かして焼成
一つの生地の始まりから店頭に並ぶまでに
さらっと三時間くらいかかっちゃうのよ。


生地によって要する時間も変わってくる中で、
ホイロの容量も決まっているし、
同時に焼ける量も設置されている窯で上限が決まっているので、
考えて仕込まないと焼きたいけど窯が空いてないとかってなっちゃうと本当大変(°ω°)
発酵は待ってくれないので、
一日の段取りを緻密に計算しているのが
仕込みと言う役割なのです(●'w'●)

当然在庫の管理もしているので、
目標の売り上げに対して見合った小麦粉の在庫を発注しておかないと、
それはそれは悲惨な事になる。


ここまでは日々の業務で全然身につく内容。
プロの中のプロは、
全てを踏まえた上で新しい生地を開発するのが本当に楽しい。


砂糖の量で焼き色が変わると言ったけど、
砂糖の入っていないフランスパンはその分焼き色が付きにくいので、
砂糖の入っているパンと比べると焼成時間が長いんです。
焼成時間が長いということは、
その分生地内の水分を失ってしまうので、
吸水を増やさなきゃいけない。
しかし、吸水を増やすと、
生地がデロデロでとても成形できたもんじゃない。
なのでパンチしてフロアタイムを複数回取って生地を強くしたり。

こういったことをクリアしていける知識が当然必要になってくるし、
実際に運用した時に、
他のパンの工程とバッティングしないような段取りも組まなくてはならないし。

とにかく奥が深いんですにゃ〜( ˘ω˘ )


今回はここまでだけど、
ここからどうやってドラクエに繋がるのかは…



考えてないんだけど乞うご期待。

次回は成形について。